昼の話




名も無い草原に
二人の旅人がいました
その日は晴れていて
空には雲ひとつありませんでした


一人の旅人はホグニといい
もう一人の旅人はナイトといいました




ホグニは空を見ながら言いました
「綺麗な青い空だね。」
「ああ。」
ナイトはめんどくさそうに答えました
「この青い空の向こうには何があるんだろうね。」
「そんなの決まってんだろ。
 宇宙だよ。」
ホグニは少し困った顔をして言いました
「宇宙ね・・・でもそれはテンモンガクシャがいってるだけでしょ?」
「言ってるも何も、それが真実なんだよ。」
「ふーん・・・。
 でも僕は違うと思う。」
「何で?」
「だってさ、僕が考える宇宙ってのは空気も水も、美味しい食べ物も無いし・・・」
「ちょっと待った。
 ・・・美味しい食べ物?」
「まぁいいからいいから。
 それに宇宙はあんなに広くて暗いから凄く怖いんだよね。
 だから、こんな綺麗な青い空の向こうが
 あんな怖い宇宙なわけないよ。」
「じゃあ聞くけど、この空の向こうには何があるんだよ?」
「それはね、この空よりももっっっっと綺麗な
 『本当の蒼い空』があると思う。」
ホグニは言い終えて
青い空を見上げました
そしてナイトも青い空を見上げました


しばらくしてナイトは言いました
「ホグニらしいね。」
「そうかい?」
ホグニは少し笑いました


名も無い草原に
二人の旅人がいました
その日は晴れていて
空には雲ひとつありませんでした




















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