夜の話




ある山の頂上に
二人の旅人がいました
空には何億という星が広がっていて
雲ひとつ無く遠くまで見渡せました


一人の旅人はホグニといい
もう一人の旅人はナイトといいました

ホグニは星空を見ながら言いました
「綺麗だねぇ。」
「ああ。」
ナイトはめんどくさそうに答えました
「この星の向こうには何があるんだろうね。」
「・・・前にもこんなこと聞いたよね?」
「そうだっけぇ。」
ホグニはとぼけたように言いました
「でも、僕が言いたいのはそのことじゃないんだ。」
「・・・一つ聞くけど、最初に質問したのは前と同じことをさせたかっただけ?」
「・・・僕が言いたいのはそのことじゃないんだ。」
ホグニはもう一度同じことを言いました
ナイトは長いため息をついて言いました
「そんで、何?」
ホグニはナイトに向き合って言いました
「ちょっと長くなるけど、飽きずに聞いてね。
 星空って綺麗ですぐ近くに見えるような感じがするけど、本当はずーっと遠いところにあるんだよね。
 それで、これは僕の想像なんだけど、今見えているのは本当は無いんじゃないか?
 幻を見ているんじゃないか?」
「・・・」
ナイトは静かに聞いていました
「こう思う理由は特に無いんだけど、なんとなくそんな気がするんだ。
 しいて言うなら、
 遠くにあって確かめられないものは幻なんじゃないか?って思うんだ。」
ホグニは言い終えて
また
星空を見上げました
そしてナイトも
星空を見上げました


しばらくしてナイトは言いました
「ホグニらしいね。」
「そうかい?」
ホグニはにっこりと笑いました


ある山の頂上に
二人の旅人がいました
空には何億という星が広がっていて
雲ひとつ無く遠くまで見渡せました




















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